普段数学の授業をしていると、生徒から早く簡単に答えを出す方法をよく聞かれます。もちろん受検生に対してであったり、喫緊の状況の時はすぐさま答えを教えるのですが、そうでなければ、あえてその生徒に考える材料を与えて、すぐには答えを教えないことがあります。これは、もちろんいじわるをしているわけではなく、ある考えがあったからです。どういう考えかというと、「すぐに簡単に手に入ったものは、すぐに簡単になくなるのではないか」ということです。これは何も勉強においてだけではないのですが、簡単に手に入ったものは簡単になくなるし、誰かに真似されすぐに再現されてしまう。だから、そこの価値は上がることはない。しかし、その人が苦労して、時間をかけ編みだしたものは、オリジナリティがあり、誰にも真似できない個性が出てくる。そうすると価値が上がってくる。これは勉強でも同様で、例えばある方程式の解き方をすぐに諦めて答えに頼ったり、誰かに聞いたときは、そのときは満足します。しかし、次に似た問題が出たときにそれが自分で解けるかといったら、なかなかそううまくはいきません。むしろ、その問題を苦しんで、悩んで、なんとか導いた解法は自分のものになり、似たような問題が出てきても応用が利きます。現代は大変便利な時代になり、何か欲しいものがあれば、ボタンを押すと早ければ次の日に手に入ります。調べたいことがあれば手のひらに収まるスマホをスワイプするだけで、様々な情報がシームレスに手に入ります。歴史上これほどまでに便利な時代はこれまでになかったのではないでしょうか。その時代に私たちは慣れてしまい、何でも早く簡単に手に入れようとする。しかし、それの価値や習得率というとは、本当に低いものになってきているのではないかと思います。だからこそ、こんな時代だからこそ、自分自身で考えたり、体験したり、経験することを大切にしてほしいと考えています。そこで気づいたり、考えたりしたことに今後価値が生まれてくるのではないでしょうか。 参考に!
簡単に手に入れたものは
