「ある高齢の大工の話」です。その大工は、もうそろそろ家を建てる仕事を辞めて、妻と一緒にのんびり暮らそうと思った。雇い主は、個人的な願いとして、「もう一軒だけ建ててくれないか」と頼んだ。大工は承知したが真剣に仕事をする気はなかった。粗悪な材料を使い、手を抜いた。キャリアを積んだ優秀な職人の幕引きにしては残念な仕事だった。家は完成した。点検にやってきた雇い主は、玄関の鍵を大工に渡して言った。「この家はあなたの家です。私からのプレゼントです」大工は大きなショックを受けた。ひどく恥ずかしかった。自分の家を建てているとわかっていたら、・・・多分もっとがんばっただろう。そして大工はその家を前に呆然と立ち尽くした。
みんなは、この話を聞いてどのように感じましたか?これは何もこの大工に限った話ではないと思うのです。私たちはみんな一人ひとり毎日毎日「人生」という家を建てている様なものです。しかし、私もそうですが、時に建てていることに全力を尽くしていないことがあります。そして後になって自分が作りあげた人生(建てた家)に一生住み続けなくてはならないことを知ってショックを受ける。もう一度やり直すことができれば、もっと頑張ったのになんて思ったりします。しかし、その時には後戻りは出来ないのです。これは敢えてここで言わなくてもあたり前の事なのですが、私はこの「大工の話」を聞いて大工を笑うことが出来ません。自分自身も人生上で全てにおいて全力で取り組んできたか?基礎からしっかり作り、土台を固め、丈夫な柱を建ててきたかと言われれば、自信を持って「はい」とは言えない部分があります。だからこそ、若いみんなには、土台をこれから固め柱を立て始めるみんなには、この話を心の中に置いておいてほしいと思っています。
進路に向け、受検に向けて、どうしても頑張れなくなる、やる気のなくなってしまう瞬間がこれからも出てくるかも知れません。しかし、そんな時にこの話をもう一度思い出してみてください。みんなが今取り組んでいることも、確実に自分の「人生(家)」を作る部品になっているはずです。一生住み続ける家ならば、快適で自分が納得する家に住みたいと誰もが思うはずです。毎日の自分の取り組みを大切にしていきましょう。参考に!