以前、移動サーカスがやってきたときに聞いた話です。そのサーカスは動物と共にアクロバティックな演目を披露するサーカスで、息をつく暇が無いくらい素敵な体験をした覚えがあります。そんな中で演目が終わり、帰りの途中でたまたまバックヤードが見える瞬間があり、違和感を感じ、足を止めました。どんな光景がそこにあったかというと、ライオンや鳥などの動物は檻やかごに入れられているのに、象は前足の足元に、今にも切れてしまいそうなチェーンが付けられて杭につながれているだけだったのです。象の体からすると、今にも抜けてしまいそうなものでした。不思議に思い近くにいた係員さんに聞いたところ、「小さい頃からこれにつながれていて、自分自身で抜けないと思っているから、引きちぎろうとしないから大丈夫」と言われました。そんなものなのか~などと、その時は気にせず帰路についた記憶があります。今になって考えると、この現象は人間にもあてはまるのではないかと思います。どういうことかというと、私たちも小さい頃は幼く、体が小さかったから出来ないことは沢山ありました。しかし、成長して大人に近づいた今、出来ることはずいぶん増えたと思います。しかし、その中で自分が苦手と思っていることや、出来ないと思い込んでいることが、未だにあるのではないかと思います。例えば、数学の問題で、以前は読解が出来ずに計算が出来なかったものも、今は何回もトレーニングして出来るようになっているのに、テストになると自分は出来ないと思い込んで手が止まってしまう。特に自分がそう思い込んでいることに関しては、思考がそれ以上に広がらないため、解ける力があるのに、解かずに終わってしまう。そんな現象をよく目にします。そんな時は是非、自分自身にもう一回聞いてみてください。「本当にそれはできないことなのか?」「本当に今も苦手なのか?」自分自身で自分自身の檻を開くことが大切なのではないかと思います。特に小さいときに抱えていたトラウマに近いような荷物は、今も持っている必要は無いはずです。今の自分に合った、今の自分が選択した荷物を持つべきではないかと思います。
鎖につながれた象
