以前雑誌の取材のインタビューで、棋士の森内俊之九段が、二十代の頃は勝つ将棋にこだわっていたが、「勝っても明日につながらない将棋」より、「負けても次に生きる将棋」を目指すと語っているのを目にしたことがあります。とても感銘を受けましたし、私自身の勝負に対する考えにも一致すると感心したことを覚えています。何をこの受検シーズンにこんな話をしているんだと思っている人もいるかもしれませんが、人生にはやり直しの効かないような失敗は存在しないんじゃないかということを伝えたいのです。もちろん受検に関しても自分の思った通りに進むのが最善ですが、仮に思い通りにいかなかったとしても、そこで自分がどう考え行動したかが大切、つまりそこに人間の真価が現れるのではないかと思います。スポーツの世界で指導者として選手と関わる中でも、目の前の勝負ばかりにこだわっていると、大切なものを見失うことがあります。むしろ負けの中から学ぶことが今後につながる瞬間をよく目にします。そう考えると自分が全力で物事に取り組み、いかなる結果が出たとしても自分にとってはかけがえのない経験だと考えること。今自分に起こっていることが将来どのような点と点の繋がりになっているかは誰もわかりません。だからこそ、どこかに繋がっていると信じて、今、目の前の物事に集中していくことが大切なのではないかと思います。
この時期はどうしても不安になり、焦ってしまうこともあると思います。そんな時にどのように考えて自分をコントロールしていくかが大切になってきます。本番に自分自身の力が出せないことが一番後悔残るはずです。だからこそ、いい準備をしたい。この冬に落ち着いてじっくり対策を練ってほしいと思います。自分自身をコントロールする術を身につけていってほしいと思います。ぜひ参考に!